私の日記から
家庭菜園の中でも丹精込めて育てているのが、まくわ瓜に似た薄黄色のソーメンカボチャである。朝な夕な数を数え、育ち具合を確かめる。あまり店頭で見ることのないカボチャである。
小学生の頃、父の実家に行くと、祖母がゆでたのを清水で冷やし、マヨネーズで和えて食べさせてくれた。祖母は、ゆっくりと腰をおろしたのを見たことがないほどの働き者だった。
野良仕事で荒れたゴツゴツした手で 「ようきたなあ」 といつも頭をなでてくれたが、腰の曲がった姿を幼い私は怖いと思った記憶がある。肉親に食べさせようと一日中、畑で働いていた祖母を、今では美しいと思うようになった。
その祖母は九年前に亡くなった。祖母の味が無性に懐かしくカボチャの種を求めたのだったが、梅雨時に病気にかかってしまい、粒も不ぞろいで収穫は芳しくない。しかしその味は心に残っていたものと同じであった。
やさしい言葉をかけてあげたこともなく、その死にも間に合わなかった。野菜作りを通して、祖母の偉さをしみじみと感じている。
昭和50年8月23日 読売新聞 「私の日記から」 掲載
by abeliam | 2007-09-13 10:50 | Trackback | Comments(1)
お婆ちゃんは織田さんが可愛いかったんやね

