畑仕事に祖母思う
ようやく5個のソーメンカボチャを収穫した。
幼いころ、田舎で食べた味が忘れられず、今春、種をまいた。受粉のため、一週間以上も片道1キロの道を通った。
思う存分、地面をはいずりまわりたいだろうに、隣に侵入しないようにつるを曲げられ、早い時期に切られてしまった。しかし虐待にもめげず、何とか育った。
本を片手に手探りしながら、祖母を思った。一日中動き、夏休みにやってくる孫を思い、畑仕事に精を出していた。真っ黒な荒れた手と額に刻まれた深いしわを美しいと、今なら思える。
ウリの中にいく種類もの野菜やスルメを詰め、手作りのみそやしょうゆに漬け込んだ漬物は、絶品だった。当時、苦手な野菜が多かった私は祖母に、感謝の気持ちを表しただろうか。わき水で程よく冷えたマヨネーズあえのソーメンカボチャを食べる時には、最高の笑顔を見せたとは思うけれど。家族のために労を惜しまなかった先人たちの生き方を思い返してみたい。
今日も、家族の笑顔を思いながら畑に向う。

2003 8 26 読売新聞 ティータイム 掲載
by abeliam | 2008-09-11 11:09 | Trackback | Comments(0)

